無題

Hロシゲは陣山中から転校してきたときから、すでに父兄を思わせるすじがねいりの老け顔で、たばこに火をつけるしぐさもさまになっていた。
しかも、スマートボールに飽き足らなくなった中学2年生は、これまたすでに黒崎の銀天街にあったパチンコ「丸玉」(いまのZEUS)の常連客であったし、煙草の煙でむせかえる店内の喧噪のなか、中間試験だろうが期末試験だの関係なく銀玉を弾いていた。
老け顔だったHロシゲはともかく、一緒に出入りしていた幼くかわゆかったHボーも補導はおろか一度も注意されたことはなかった。
「打ち止め」になったら、やばい、出玉まるごと没収されるのではという不安があった。
同級生のなかには、「東●劇場」という必ずしも健全でない,そして必ずしも若くはない女性があられもない姿になって踊る劇場に出入りするつわものもいて、いやはや、いったいぜんたいこの黒崎という町はなんという町だったのだろうか、と今更ながら思った。
家族の問題やらなんやらで家の重苦しい空気から逃れるために黒崎にやってきた二人を「丸玉」は無抵抗で受け入れてくれたのだった。
そして、青少年育成条例なんて知るかいのこの無法の町が、ちょいわるではあるけれど本城中の男子たちを骨太のりっぱな社会人にきちんと育て上げてくれた。
2015.3.22

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